カントリーリスクで独が最高評価失う

取引信用保険大手の仏コファスは4日発表した最新のカントリーリスク・レポートで、ドイツの評価を最高の「A1」からワンランク下の「A2」へと引き下げた。同国自動車業界の状況悪化が格下げの最大の要因。コファスはオーストリアも「A2」に格下げしており、欧州で「A1」評価を受けるのはノルウェー、スイス、オランダ、ルクセンブルクの4カ国に減った。

コファスは各国の経済・政治状況と企業の貸倒損失リスクをもとにカントリーリスク評価を作成している。評価はA1、A2、A3、A4、B、C、D、Eの八段階で行う。

ドイツはマクロ経済基盤が安定し、個人消費と労働市場の状況も良好を保っている。だが、経済成長の鈍化や製造業生産の低迷など景気の不調が鮮明になっているうえ、短中期的に改善する見通しも立っていない。

主力産業の自動車は需要減に直面し、独メーカーの販売台数は減少している。これを踏まえコファスは自動車および同産業と密接につながる金属産業に今回、「高リスク」評価を与えた。

情報通信業技術(ICT)産業についても評価をこれまでよりも悪い「中リスク」へと引き下げた。競争激化を背景に同産業の景況感が悪化しているほか、先ごろ終了した次世代移動通信規格5Gの周波数帯入札で落札企業が総額60億ユーロ強の負担を余儀なくされたことから、財務が今後、圧迫されると予想されるためだ。

同社はこのほか、製薬業界の評価を「中リスク」へと引き下げた。製薬原料の新規受注と生産がここ数カ月、減少しているうえ、独製薬大手が主要製品の特許切れ問題に直面していることが評価の下方修正につながった。

ドイツの倒産件数については今年、1%増加し、拡大へと転じるとみている。

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