欧州銀行監督機構(EBA)は2日、国際的に活動する大手銀行に対する新たな自己資本規制「バーゼル3」が完全に適用された場合、EU域内の銀行は合計1,350億ユーロの資本不足に陥るとの試算を発表した。EBAによると、大手銀行は規制に対応するため自己資本を24.4%積み増す必要に迫られ、収益悪化に直面する欧州の銀行はさらに厳しい逆風にさらされることになる。
バーゼル3は金融危機の再発防止を念頭に、銀行が想定外の損失に直面した際の耐性を高める目的で2017年12月に最終合意された。融資など銀行のリスク資産の算定方法を従来より厳しくする内容で、22年から段階的に導入して27年に完全実施される。
EBAはEU域内の189行を対象に、バーゼル3が完全に適用された場合の影響を分析した。主要国の銀行監督当局で行使するバーゼル銀行監督委員会が規制の内容で最終合意した17年末では、大手銀行が求められる自己資本の積み増しを15.2%と見積もっており、今回はこの試算を大幅に上方修正したことになる。
ただし、EBAは域内の銀行が今後、27年までの移行期全般にわたり、14~18年の実績に基づく利益水準を確保できれば、資本不足は合計587億ユーロと、今回の試算の半分以下で収まるとの見方を示している。