ドイツ連邦カルテル庁は11日、国内最大の廃棄物処理事業者レモンディスが包装材のリサイクル(デュアルシステム)で国内最大手のデュアレス・ジステーム・ドイチュラント(DSD)を買収する計画を承認しないと発表した。買収を認めると、デュアルシステム市場で公正な競争が著しく損なわれると判断した。レモンディスは承認を得るために一部事業を売却する意向を同庁に伝えたものの、公正な競争を保つ効果が十分でないとして認められなかった。
レモンディスは昨年9月、DSDを投資会社などから完全買収する計画を発表した。法改正でデュアルシステム市場の見通しが好転したことから、DSDを傘下に収め同市場に再参入する考えだった。
ドイツで包装材を利用する企業はそのリサイクルを義務づけられている。実際にはデュアルシステム事業者が代行。家庭などで捨てられる包装材を回収・分別・再資源化している。
デュアルシステム・サービスを利用する企業は同事業者に料金を支払うことになっている。だが、実際には料金不払いで便乗している企業が多く、デュアルシステム各社の財務は圧迫されていたため、レモンディスは2014年、同事業から撤退した。
こうした状況を改めるために、包装材を利用するメーカーや輸入会社などの事業者に登録を義務づける改正包装材法が今年1月付で施行された。未登録で包装材を利用することは違法となり、違反企業は過料を科される。
レモンディスはこの法改正を受けて、DSDを買収しデュアルシステム市場に再参入することにした。
これに対しカルテル庁は、独廃棄物処理市場でダントツ1位のレモンディスが、デュアルシステム市場シェアが約30%のDSDを傘下に収めると、デュアルシステム市場の競争が大幅に損なわると判断した。デュアルシステム事業者は包装材の回収・分別・再資源化業務を、入札を通して廃棄物処理会社に委託しているためだ。競争が損なわれれば、廃棄物処理事業者への業務委託料金が上昇し、最終的に消費者に転嫁される可能性が高い。