VW:アウディ前社長などを起訴、排ガス不正問題で

ミュンヘン検察当局は7月31日、フォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車排ガス不正問題に絡んで高級車子会社アウディのルーパート・シュタートラー前社長など4人を起訴したと発表した。VWのマルティン・ヴィンターコルン元社長はすでに起訴されており、不正発覚当時の主要な役員2人が刑事上の責任を問われることになる。

ミュンヘン検察は今回、シュタートラー前社長と、違法なエンジン開発に関与した3人を詐欺、間接的な文書偽造、違法広告の容疑で起訴した。

VWグループのディーゼル車には台上試験と実際の路上走行の違いを認識し台上試験でのみ排ガス処理が適切に行われるようにする違法なソフトウエアが長年に渡って搭載されていた。この事実が2015年9月に発覚すると、ヴィンターコルン社長(当時)は責任を取って同月中に辞任した。

違法ソフトはエンジンも含めてアウディが開発し、同社と姉妹ブランドのVW、ポルシェの車両に搭載されてきた。このためミュンヘン検察は排ガス不正でアウディが果たした役割を問題視。昨年6月にシュタートラー社長(当時)の逮捕に踏み切った。今回発表した声明では、遅くとも15年9月末の時点で不正の事実を掴んでいたと指摘。それにもかかわらず違法エンジン搭載車の販売を続けたことが同氏の起訴の理由だと説明した。

VWのヴィンターコルン元社長は4月、重大詐欺、不正競争、背任の罪でブラウンシュヴァイク検察当局に起訴された。具体的には◇VWグループのディーゼル車に台上試験と実際の路上走行の違いを認識し台上試験でのみ排ガス処理が適切に行われるようにする違法なソフトウエアが搭載されているのを14年5月以降、把握していたにもかかわらず、その事実を欧米当局に通報せず、搭載中止にも踏み切らなかった◇窒素酸化物(NOx)濃度が高い事実を隠ぺいするためにVWグループが14年11月に開始したソフトのアップデートは当時社長だったヴィンターコルン氏の関知・同意のもとで行われた◇高い業績連動報酬を得るためにグループが販売する違法車両の台数を可能な限り多くしようとした――と批判されている。

ヴィンターコルン氏もシュタートラー氏も容疑を否認している。

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