上期の独機械輸出は微増、第2四半期に失速

ドイツ機械工業連盟(VDMA)が連邦統計局のデータをもとに21日発表した同国の上半期(1~6月)の機械輸出高は前年同期比0.9%増の892億ユーロとわずかな伸びにとどまった。第1四半期(1~3月)は3.8%の伸びを確保したものの、第2四半期(4~6月)は1.8%減の447億ユーロと失速。上半期の成長率が強く押し下げられた。VDMAのラルフ・ヴィーヒャース主任エコノミストは「特に米中間の通商摩擦に伴う先行き不透明感と、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)に向けた合意実現見通しの欠如が輸出志向のわが業界を圧迫している」と強調した。

上半期の輸出高が最も大きかった仕向け先国は米国で、前年同期比7.8%増の99億6,110万ユーロを記録した。第1四半期が好調だったことが大きく、第2四半期は伸びが鈍化したという。

2位の中国は0.6%増の92億7,200万ユーロと伸び悩んだ。米国との通商摩擦と景気減速が響いた。

欧州の5大仕向け先国ではフランスが6.8%、オーストリアが0.1%伸びた以外はすべて減少した。減少幅はイタリアで5.9%、オランダで1.9%、英国で1.7%に上った。ヴィーヒャース主任エコノミストはイタリア向け輸出の減少について、伊政府の対EU対決姿勢を受けて同国企業が投資を控えていることが背景にあると説明した。EU向け輸出額は計431億ユーロで、前年同期を1.7%上回った。

EU域外では日本向けが12.0%増の14億8,810万ユーロと大きく伸びた。韓国向けは1.6%増の14億1,530万ユーロと小幅な伸びにとどまっており、日本はドイツ製機械の輸出先ランキングでメキシコと韓国を抜いて18位に浮上した。(表1を参照)

エルドアン大統領の強権政治を背景に景気が悪化するトルコ向けは11.4%減となり、これまでに引き続き縮小した。ロシア向けも8.0%減と振るわない。

業界の主要12部門のなかで輸出成長率が最も大きかったのはプラント・エンジニアリング機器で、9.7%に上った。これに液体ポンプ(同7.9%)、フルードパワー(7.5%)、物流技術(6.8%)が続いた。工作機械(5.7%減)と精密工具(2.3%減)は前年同期を割り込んだ。(表2を参照)

6月の独機械輸出高は143億ユーロで、前年同月を10.2%下回った。祝日の関係でドイツの営業日数が比較対象の昨年6月に比べ平均2.7日少なかったことが響いた。

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