自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは2日、車両の販売後に顧客に提供するサービス(アフターサービス)事業の強化方針を打ち出した。電動車の販売が今後増えると、修理コストが低下しアフターサービス事業の縮小につながる恐れがあることから、サービス対象となるグループブランドの車両数を増やすほか、デジタルサービスを活用することで、同事業売上の拡大基調を保つ意向だ。
VWは2028年までに電気自動車(EV)を約70モデル投入する計画で、25年にはグループ販売に占める電動車の割合を20〜30%へと高める計画。30年にはアフターサービスの対象となるグループ車両の10〜15%を電動車が占めると予想している。
電動車の修理コストは内燃機関車に比べて20〜30%低いことから、電動車の販売比率が増えるとアフターサービス売上が落ち込む懸念がある。そうした事態を避けるために、同サービスの対象となるグループの車両を30年までに現在の1億台から1億5,000万台へと拡大する。
また、通信機能を備えた車両(コネクテッドカー)を活用して各顧客に見合ったピンポイントのアフターサービスを提供。メンテナンスが必要なことなどを事前に知らせたうえで予約の提案を行い、利便性を向上させる。こうした措置により顧客のロイヤリティを引き上げ、サービス売上の拡大につなげる戦略だ。
デジタル技術をフルに活用するとから、サービス拠点では煩雑な事務作業が大幅に削減され、従業員は接客に集中できるようになる。