自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は10日、中国のリチウムイオン電池メーカー、ファラシス・エナジー(カン州)からセルを調達することで合意したと発表した。ダイムラーは二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を乗用車部門メルセデスベンツ・カーズで2039年までに実現するとの目標を打ち出しており、その実現に向けた取り組みの一環としてファラシスと契約した。ファラシスはダイムラーの「持続可能性パートナー」として再生可能エネルギー電力の使用などを義務づけられる。
ファラシスは02年に米カリフォルニア州のシリコンバレーで設立された。従業員数は現在、3,500人を超えている。米国と中国に研究センターがあり、中国の江西省カン州市と江蘇省鎮江市に計2工場を持つ。本社は現在、江西省カン州市に置かれている。
ダイムラーへのセル供給に向けて現在、ドイツに工場を建設することを計画している。独ザクセン・アンハルト州経済省は5月、ファラシスが同州のビッターフェルト・ヴォルフェンにバッテリー工場を建設すると発表しており、この工場でダイムラー向けのセルを生産するもようだ。ダイムラーによると、ファラシスは独工場に続いて、米国と中国にも生産施設を設置する。
これらの工場ではダイムラーとの取り決めに基づき、再生エネを用いてカーボンニュートラルな生産を行う。ダイムラーとの合意が守られているかどうかは技術監査サービス大手の独DEKRAが調べる。調査は将来的に、原料採掘現場を含むサプライチェーン全体に拡大される。
ファラシスはこのほか、◇リサイクリング比率の向上に向けてダイムラーと協業する◇全サプライチェーンで人権が遵守されるようにする――ことも今回の契約で義務づけられた。