欧州委員会のベステアー委員(競争政策担当)は4日、米フェイスブックが発行を計画しているデジタル通貨「リブラ」について、競争を阻害する恐れがないか調査を進めていることを明らかにした。リブラをめぐっては、多くの国の中央銀行や金融当局の間で、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されたり、個人情報が不正利用されるといった懸念の声があがっている。
リブラはフェイスブックがクレジットカード大手ビザ、マスターカードや配車アプリ大手ウーバーなど27社と組んで発行を計画しているデジタル通貨。ビットコインなど他の仮想通貨と異なり、法定通貨など実質資産に裏付けされ、価値が変わらない点が最大の特徴だ。2020年の導入を目指している。
ロイター通信によると、ベステアー氏はノルウェーのベルゲンで行った講演で「導入前の段階で、6月に発表されたリブラについて調査することができる」と指摘。「(リブラの発行が)競争上のリスクになり得るかどうか調査しており、介入が必要と判断した場合は速やかに行動する準備ができている」と述べた。
欧州委はリブラについて、消費者のデータ利用などが競争を制限し、他の事業者を不利な立場に追いやる可能性があるとの懸念を抱いている。欧米メディアによると、ベステアー氏は8月上旬、リブラを管理するリブラ・アソシエーションに参加する28社(フェイスブックを含む)に質問状を送り、会員になるための条件や、消費者データの利用実態、リブラと関連づけられる予定の「メッセンジャー」や「ワッツアップ」などのアプリについて照会したとされる。