オランダ検察当局は26日、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の疑いで、同国の金融大手ABNアムロに対する調査を行っていることを明らかにした。ABNアムロも同日、検察当局の捜査を受けていることを認めた。これを受け、同行の株価は一時12%下落した。
検察当局によると、ABNアムロは顧客の本人確認などを十分に行わず、資金情報機関(FUI:資金洗浄やテロ資金供与が疑われる取引の情報を一元的に管理し、捜査機関等に情報提供する政府機関)に疑わしい取引について報告しなかったり、報告を遅らせたケースもあった。同行では長期にわたってこうしたずさんな対応が続いており、疑わしい顧客との取引を適切なタイミングで中止しなかったと指摘している。
一方、ABNアムロは25日に中央銀行から捜査について通知を受けたものの、具体的な捜査内容や期間など詳細は伝えられていないと説明している。同行の広報担当は「資金洗浄対策は当行の最優先課題だ」と述べ、検察当局の捜査に全面的に協力する意向を示した。
オランダ政府が過半数株を保有するABNアムロは以前、顧客の本人確認に不備があったことを認めたうえで、資金洗浄およびテロ資金供与防止法に違反したとして制裁金を科される可能性があると警告。今年に入り、新たに2億2,000万ユーロを投じて資金洗浄対策を強化する方針を打ち出した。
欧州の大手金融機関で相次いで資金洗浄疑惑が持ち上がる中、オランダでは昨年、INGグループが適切な顧客管理を怠った結果、2010~16年にかけて同行の口座が資金洗浄や不正送金に利用されたとして、7億7,500万ユーロの和解金を支払うことで検察当局と合意している。