難民受け入れ分担案で合意できず、提案国以外の支持は3カ国のみ

EUは8日、ルクセンブルクで内相理事会を開き、地中海を渡って流入する難民・移民の受け入れについて協議した。イタリアやギリシャなどに過度な負担がかかる現状を改善するため、ドイツやフランスなどは加盟国で難民を分担する案を提唱しているが、支持を表明した国はごく一部にとどまり、議論は平行線をたどった。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年に入りアフリカや中東から地中海経由で欧州に渡ってきた難民や移民は10月3日の時点で約7万6,000人に上る。前年の同時期に比べると少ないものの、春以降は増加傾向が続いている。EUとトルコの関係悪化を背景に、最近はEUとの協定に基づきこれまで難民を受け入れてきた同国から欧州に流入するケースも増えている。

こうしたなか、独仏とイタリア、マルタの4カ国は9月下旬、難民申請が認められた人を加盟国が分担して受け入れる案で合意した。非政府組織(NGO)などが地中海で救助した人をイタリアなどに送り、上陸から4週間以内に難民申請を認めるかどうか判断。難民認定された人を加盟国が分担して受け入れる仕組みだ。一方、経済的な理由から欧州を目指す経済移民と判断された場合は、本国に強制送還する。

事前の情報によると、反移民を掲げる東欧諸国などは分担案に強く反発しているものの、10カ国以上が支持するとみられていた。しかし、内相理では提案した4カ国以外に賛成を表明したのはアイルランド、ルクセンブルク、ポルトガルの3カ国にとどまり、意見を集約することはできなかった。

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