香港取引所は8日、ロンドン証券取引所(LSE)グループへの買収提案を撤回すると発表した。296億ポンド(約3兆9400億円)で全株式を取得し、合併することを提案していたが、LSEが拒否の姿勢を崩さず、断念を迫られた。
香港取引所は9月11日、LSEグループに買収を提案したと発表。買収は現金支払いと株式交換を組み合わせた形で、LSEの株主は1株につき現金20.45ポンドと香港取引所の新株2.495株を受け取るという内容だった。買い取り価格は前営業日の終値に22.9%を上乗せした水準だ。
香港取引所はアジアと欧州の代表格である両取引所の統合による効果を強調しているが、LSEは即座に「戦略的なメリットがない」として拒否を表明していた。LSEが金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを買収する計画の中止が買収条件となっていることや、香港取引所の大株主が香港政府で、買収が実現するとLSEが間接的に中国政府の影響下に置かれることへの懸念が背景にある。
香港取引所は声明で、両証取の統合には「戦略的な意義がある」としながらも、LSEの経営陣が拒否を貫き、話し合いに応じないことから買収を断念したとしている。