欧州連合(EU)は17、18の両日に開いた首脳会議で、西バルカン地域の北マケドニアとアルバニアのEU加盟交渉入りについて協議した。加盟国の大半は交渉入りを支持したものの、フランスなど一部の反対で全会一致の同意を得られず、結論を先送りした。
欧州委員会は5月、加盟条件を満たすための改革に進捗があったと判断し、両国との交渉開始を閣僚理事会に勧告した。加盟国の半数以上はその時点で交渉開始を支持したものの、法の支配の徹底や汚職対策などが不十分だとして一部の国が慎重姿勢を示したため、閣僚理は6月にEU拡大に関する声明を発表し、10月をめどに最終判断を下す方針を示していた。
マクロン仏大統領は18日の会見で「EUは移民問題や予算などをめぐり、これまで28カ国でも意見を集約することができなかった。加盟国が増えればさらに機能しなくなる」と発言。「まずEU内の改革を推進し、EU拡大のプロセスも見直す必要がある」と強調した。
一方、トゥスク大統領は加盟交渉入りが先送りされたことについて、「責められるべきは北マケドニアやアルバニアではない」と指摘。欧州委のユンケル委員長はフランスの姿勢を「歴史的な過ちだ」と非難した。
こうしたなか、北マケドニアのザエフ首相は19日、前倒し総選挙を実施すると発表した。同国はEU加盟交渉の開始に向けて隣国ギリシャとの対立を解消するため、今年2月に国名を「マケドニア」から現在の北マケドニアに変更した経緯がある。国民の反対を押し切って国名変更までしたにもかかわらず、交渉入りが先送りされたことを受け、ザエフ氏は解散・総選挙で民意を問う考えを示した。