欧州委員会は22日、クロアチアが欧州内での人の自由な移動を保障するシェンゲン協定の締結に必要な条件を全て満たしたとの見解をまとめ、同国のシェンゲン圏入りを承認するよう加盟国に勧告した。協定への新規加入は閣僚理事会で全会一致の承認が必要。実現するとクロアチアは27番目の締結国となる。
シェンゲン協定には欧州連合(EU)加盟28カ国のうち英国、アイルランド、キプロス、ルーマニア、ブルガリア、クロアチアを除く22カ国と、非加盟国のノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタインを加えた計26カ国が参加している。シェンゲン圏では国境でのパスポート検査などを廃止する一方、域外国境では共通ルールを導入して出入国管理を調和させている。2013年7月にEUに加盟したクロアチアは16年3月にシェンゲン協定への参加を申請し、同年6月から欧州委による審査が続いていた。
欧州委はシェンゲン協定が定める規則のうち、国境をまたいだ犯罪に対する司法・警察の協力、統一ビザの発給、域外国境での出入国審査に際して特定の人物に関するデータを共有する「シェンゲン情報システム(SIS)」の導入などに関しては、既に対応済みとの評価を下していた。一方、域外からの難民・移民の急増に対応するため、対外国境管理の厳格化が求められていたが、クロアチアは協定締結に向けて必要な措置を講じており、今回全ての条件を満たしたと判断した。