スポーツ用品大手の独アディダス(ヘアツォーゲンアウラハ)は11日、ドイツと米国での高度なオートメーション技術を利用したシューズ生産を来年4月までに停止し、アジアに移管すると発表した。製品づくりのノウハウを持つアジアのサプライヤーに生産を委託した方が大きな成果が出ると判断したため。アジアのサプライヤーでは今後、アディダスが独米で培った技術を利用してシューズ以外の同社製品も製造する意向だ。
先進諸国のスポーツ用品・衣料品メーカーは製品を主にアジアの低賃金国で委託生産している。スポーツシューズでは100以上の部材を縫い合わせたり接着する必要があり、人件費が高い先進国では採算が合わないためだ。
アディダスは人手をほとんど必要としない高度な自動生産技術「スピードファクトリー」を独機械メーカーのマンツと共同開発し、先進国でもシューズを生産できる体制を確立。樹脂加工メーカーの独エクスラー(OECHSLER)に工場運営を委託して2017年から量産を開始した。工場はまず独アンスバッハに開設。その後、米アトランタにも設置した。
だが、生産は当初の予定ほど伸びなかったもようで、アンスバッハ工場では生産能力(年50万足)がフル活用されたことが一度もなかった。
エクスラーとは今後、状況に応じて成形物が形状を変える「4Dプリント」技術などの分野で協業する意向だ。