ロシアの国営化学会社ルスガスダビチャ(RusGasDobycha)子会社のバルティック化学コンプレクスは先ごろ、米国企業のルムス(Lummus)とユニベーション(Univation)から新工場で使用するための技術ライセンスを取得することで合意した。新工場はバルト海沿岸の港湾都市ウスチ・ルーガに建設されるもので、第1期と第2期を合わせた総工費は120億ユーロに上る。
米プラント大手マクダーモット・インターナショナル傘下のルムスはルスガスダビチャに対しエチレンの生産に関するライセンスを供与する。同社は年間280万トンを生産しポリエチレンの原料として利用する予定。一方、ダウ傘下のユニベーションは同社に対しポリエチレン(PE)の他、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセンポリエチレン(mPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の触媒システムに関するライセンスを供与する。
新工場では6つのポリエチレン製造施設を使い、年間計300万トンを生産する予定。
ルスガスダビチャは10月中旬に化学大手の中国化学工程集団(CNCEC)とガス化学施設に関するEPC(設計・調達・建設)契約を締結した。今月上旬にはCNCEC傘下の中国化学工程第七建設有限公司との間で第1期工事の詳細について合意している。ルスガスダビチャによると、新施設の完成は2023年末から24年初頭の予定。第2期工事はその後1年かけて実施する。
ルスガスダビチャはまた、国営ガスプロムとの合弁企業ルスヒムアリヤンスを通して、ウスチ・ルーガに年間450億立法メートルの生産能力を持つバルティック液化天然ガス(LNG)コンプレクスを建設することを計画している。完成後はLNGを年間1,300万トン、液化石油ガス(LPG)を250万トン、エタン400万トンをそれぞれ生産する予定。原料にはシベリア北部のナディム・プル・タズ・ガス田でガスプロムが生産する天然ガスを利用する。