欧州委が英への違反手続きに着手、欧州委員候補の指名拒否で

欧州委員会は14日、フォンデアライエン次期委員長を中心とする新体制をめぐり、英国が委員候補を指名していないのはEU条約に基づく義務の不履行にあたる可能性があるとして、同国に対する違反手続きを開始したと発表した。欧州委は英国政府に対し、11月22日までに回答するよう求めている。期限までに回答がなかったり、対応が不十分と判断した場合、最終的にEU司法裁判所に提訴する可能性もある。

EU条約に基づき、欧州委員は各加盟国から1人ずつ任命されることになっている。英国は2020年1月31日までにEUを離脱する予定だが、それまでは加盟国としてEU条約の履行義務を果たさなければならない。フォンデアライエン氏は2度にわたりジョンソン英首相に書簡を送り、欧州委員の候補を指名するよう求めていた。しかし、11月13日付の英国からの回答は、少なくとも12月12日の総選挙が終わって新政権が発足するまで、自国からは候補を指名しないという内容だった。

欧州委はEU司法裁判所が2015年に下した判断に基づく判例法を引用し、加盟国は国内法の規定を理由にEU法に基づく義務の不履行を正当化することはできないと指摘。離脱日までは正式なEU加盟国として、自国から欧州委員の候補を指名する義務があると強調している。

次期欧州委は11月1日付で発足する予定だったが、3候補に利益相反などの疑いが浮上し、欧州議会が承認を拒否。フォンデアライエン氏は12月1日の新体制発足を目指しており、11月中に欧州議会の承認を得る必要がある。

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