トラクター8600台が首都に結集、政府の農業政策に抗議

ドイツの首都ベルリンで26日、農業従事者4万人が抗議集会を行った。全国各地からトラクター8,600台が結集。環境保護重視に傾く政府の農業政策に不満をぶちまけた。ブランデンブルク門に設置された演壇で演説したユリア・クレックナー農相(キリスト教民主同盟=CDU)とスヴェンヤ・シュルツェ環境相(社会民主党=SPD)はヤジとブーイングの洗礼を浴びた。

政府は9月、除草剤グリホサートの使用を禁止する法案を了承した。グリホサートの散布に伴う昆虫の減少を食い止めることが狙いで、まずは2020年から使用を大幅に制限。24年以降は全面的に禁止する。

このほか◇飼育や輸送・屠畜で動物福祉にどの程度、配慮したかを示すラベルを、肉製品などを対象に導入する◇水肥の散布を規制する◇これまで農地面積に応じて支給してきた欧州連合(EU)の農業補助金を、今後は環境保護に向けた取り組みも加味して支給するようにする——といった政策の導入が計画されている。

こうした政策の背景には、都市住民や若年層の間で環境保護の強化を求める声が強まっていることがある。環境政党・緑の党はこのところ支持率が常に20%を超え、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)に次ぐ実質的な2位政党となっており、与党の危機感は大きい。ただ、従来型の農業を営む大半の農家は政府の政策を「現実を知らない頭でっかちなもの」と受け取っている。

農家はこれまで、中道右派のCDU/CSUにとって安定的な票田だった。だが、政府が環境保護を強化していることから、最近は両党を批判する農家が増加。東部地区では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持する動きが広がっている。

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