ワッカーケミー―多結晶シリコン価格下落で評価損、赤字転落へ―

化学大手の独ワッカーケミー(ミュンヘン)は5日、2019年12月期の純損益が約7億5,000万ユーロの赤字となり、前期の黒字(2億6,010万ユーロ)から大幅に悪化する見通しを明らかにした。太陽電池向け多結晶シリコン価格の低迷などを受けたもので、トビアス・オーラー取締役(財務担当)は「ソーラー市場が回復するという期待はこれまでのところ当てが外れたままだ」と述べた。

ワッカーは中国でソーラー発電設備の新設が進み、多結晶シリコンの需要が拡大すると予想していたが、この読みが外れた。また、多結晶シリコン業界では中国メーカーが政府の助成策や低利融資を受けて生産能力過剰に陥ったことから、価格が大幅に押し下げられている。

同社はこうした状況を踏まえ、高純度多結晶シリコンの生産設備で評価損7億5,000万ユーロを計上する。このため、純損益でわずかながら黒字を計上するとしていた従来予測の大幅な下方修正が避けられなくなった。

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