欧州連合(EU)の欧州議会とEU加盟国は5日、気候変動など環境問題の解決に貢献する持続可能な経済活動について、EU共通の分類体系(タクソノミー)を確立することで合意した。EUレベルでグリーン投資の定義を明確にして対象となるプロジェクトへの投資を促すと同時に、環境問題への取り組みを誇張して投資家をミスリードする「グリーン・ウォッシング」を排除するのが狙い。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールを導入する。
欧州委員会は2018年3月、気候変動や資源枯渇をはじめとする環境問題や、移民排斥などの社会的課題に取り組むプロジェクトへの投資促進を目的として、「持続可能な成長のための金融(サステナブル・ファイナンス)に関する行動計画」を発表。柱の1つとして持続可能性の実現に向けた経済活動のEUタクソノミーを確立する構想を掲げ、タクソノミーに法的根拠を与える規制案について議論を続けてきた。
欧州議会と加盟国の合意によると、EUタクソノミーの枠組みは環境分野における持続可能な投資を環境性のレベルに応じて「グリーン」、「イネーブル(有効)」、「トランジション(移行)」の3つに分類する。グリーン投資は最も環境性の高い事業を対象としたもので、再生可能エネルギー関連のプロジェクトなどが該当する。残る2つのカテゴリーは再生可能ではないものの、二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる事業を対象としており、イネーブル投資の例としては、風力発電所で使用される鉄鋼やセメント生産への融資などが考えられる。一方、石炭関連の事業はいずれのカテゴリーにも分類されておらず、持続可能性に貢献する投資とはみなされないことになる。
EUタクソノミーをめぐる議論では、天然ガスや原子力の扱いに関して加盟国と欧州議会の間で意見が対立していたが、最終的に加盟国側が歩み寄り、資源循環や生態系といった「他の環境分野に悪影響を及ぼさない(do
not
harm)」との原則に基づいて、持続可能な投資に該当するかどうか判断することで合意した。欧州委が今後数カ月のうちに具体的な判断基準を定める見通しだ。