Ifo経済研究所が12月18日発表した同月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を1.2ポイント上回る96.3となり、2カ月連続で上昇した。同指数は8月の94.4を直近のボトムに上昇基調が続いており、Ifoのクレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は確信をもって新年を迎える」と述べた。ただ、米中が第一段階の合意に達したとはいえ通商摩擦は依然として解消されていないうえ、英国の欧州連合(EU)離脱は今後もリスク要因であり続けることから、専門家の間からは、「真の景気回復に向けた道のりはなおも遠い」(KfWのエコノミスト)との声が出ている。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が1.5ポイント増の93.8へと大きく上昇した。同指数の改善は3カ月連続。現状判断を示す指数も0.8%上昇して98.8となった。
景況感指数を部門別でみると、製造業ではわずかに好転した。先行き懸念が従来よりも弱まったことが大きく、現状判断はやや悪化した。今後の生産については縮小を計画する企業が依然として多く、これまでに比べて融資を受けにくくなっている企業も増えている。
サービス業の景況感指数は6カ月来の高水準に達した。現状判断が大きく改善。期待指数も上昇した。
流通業の景況感指数は下落した。期待指数の悪化が響いた格好で、現状判断はやや改善した。
建設業の景況感指数は3カ月連続で落ち込んだ。先行き見通しが悪化したため。現状判断指数は極めて高い水準を保っている。
輸出期待指数が10カ月来の高水準に
一方、Ifoが19日に発表した独製造業の12月の輸出期待指数は2.6となり、2月以来10カ月ぶりの高水準を記録した。同指数がプラスの領域に復帰するのは7カ月ぶり。米中通商摩擦の緩和や英国のEU離脱確定で先行き懸念がひとまず和らいだことが反映された。
Ifoは月例の企業景況感指数調査の一環でメーカー約2,300社を対象に今後3カ月の輸出見通しを質問。メーカーは「増加する」「横ばい」「減少する」のなかから1つを選んで回答する。「増加」回答の割合から「減少」回答の割合を引いた数が輸出期待指数となる。
同指数を業界別でみると、電機と製薬が特に好調だった。自動車はなおマイナスの領域にとどまっているものの、従来に比べると改善した。金属製品は依然として振るわない。食品・嗜好品はプラスの領域にとどまっているものの、前月からは大幅に悪化した。