米製薬大手アッヴィのアラガン買収、条件付きで承認

欧州委員会は10日、米製薬大手アッヴィがアイルランドの同業アラガンを買収する計画を承認したと発表した。アラガンが開発を進めている炎症性腸疾患(IBD)の治療薬「ブラジクマブ」を売却することが承認の条件となる。

アッヴィは2019年6月、アラガンを約630億ドルで買収することで合意したと発表した。アッヴィは売上高の60%以上を占める主力の関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」の特許切れで収益低下が懸念される中、18年1月からの1年半に株価が3分の1以上も下落。新たな収益源を確保するため、しわ取り薬「ボトックス」など美容医療向け医薬品に強みを持ち、眼科治療薬なども手がけるアラガンの買収を決めた。実現すると、アッヴィは世界175カ国に基盤を持つ売上高480億ドルの大型製薬会社となる。

欧州委の審査では、両社の事業が重複するIBD治療薬が焦点となった。アッヴィはすでに「リサンキズマブ」を販売しているため、買収が成立した場合、アラガンは臨床試験の段階にあるブラジクマブの開発を中止することになる。欧州委は結果的に消費者の選択肢が狭められ、価格上昇を招く恐れがあると指摘。アッヴィはこうした懸念に対応するため、ブラジクマブの開発・製造・販売に係る全ての権利を第三者に譲渡することを提案し、欧州委はその実施を条件に買収計画を承認した。

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