プリンテッド・エレクトロニクスのスタートアップ企業である独サラロン(ケムニッツ)が同技術の新たな適用分野を模索している。同社は現在、包装材向け照明に的を絞っているが、今後は温度管理や偽造防止などにも手を広げる意向だ。創業者などへの取材をもとに『南ドイツ新聞(SZ)』が20日、報じた。
プリンテッド・エレクトロニクスは印刷技術を用いて作製された、電池やセンサー、ディスプレーなどの機能を持つ電子装置。
サラロンはケムニッツ工科大学プリント・メディア技術講座からのスピンオフとして5年前に設立された。社員は8人。プリンテッド・エレクトロニクス用のインクを開発しており、パッケージに触るとブランドロゴなどが発光する技術をすでに実用化している。印刷された電池に有害物質は含まれておらず、包装材を特別な処理なしに処分できるという。
同社関係者は今後の製品の可能性として、パッケージ内の温度を印刷作製したセンサーで測定し、同じく印刷作製したディスプレーで表示する技術を例示した。食品や医薬品の輸送で威力を発揮するとしている。人が触れると包装材がすでに開封されたかどうか、あるいは損傷しているかどうかをディスプレーに自動表示する機能も偽造防止技術として需要が見込めるとしている。価格は1個当たり1セントのケタ台にとどまる見通し。
サラロンはこれまで、ベンチャーキャピタルの出資を受けて成長してきた。今後2年で黒字転換を実現したいとしている。