エストニアのエネルギー企業フェルミ・エネルギアは28日、小型モジュール原子炉
の実現に向け、フィンランドのエネルギー大手フォータムおよびベルギーのエンジ
ニアリング会社トラクテベルと提携することで合意、契約に調印した。設置に適し
たモデルの調査および小型軽水炉の予備調査で協力するとともに、各社の持つ研究
成果を共有する。
フェルミのカレメツCEO(最高経営責任者)は小型モジュール炉導入の意義につい
て、「バルト沿岸諸国の電力網が欧州連合(EU)と同期化し、ロシア電力網から切
り離される2025年以降は、電力安定供給が重要な課題となる。小型モジュール炉
は、天候を選ぶことなくゼロ・エミッションで発電でき、電力の安定供給に大きく
貢献する」と話す。現在、欧州の他の原子力関連企業2社とも、使用済み核燃料及
び小型モジュール炉設置時期・立案の詳細分析作業での提携に向けて交渉中とい
う。
フォータムはフィンランド国営で、保有する原子力発電能力は2,819メガワット
(MW)に上る。トラクテベルは仏エンジ—グループのエンジアリング企業で、エネ
ルギー企業向けに総合サービスを提供する。
フェルミ・エネルギアは小型モジュール炉の実現を目指す民間企業で、EU初の同炉
実用化を狙う。昨年10月にはGE日立ニュークリアエナジーが同社との技術協力を発
表している。