フランスのマクロン大統領は20日、同国のデジタルサービス税導入をめぐって米政府と対立している問題で、米トランプ大統領と協議を続けることで合意したことを明らかにした。これによって米政府は検討している制裁措置の発動を年内は見送る。
フランスのデジタル税は、世界的に活動する多国籍IT企業の課税逃れを防ぐのが狙い。7月に関連法案が成立した。売上高が全世界で7億5,000万ユーロ以上、仏国内で2,500万ユーロ以上のIT企業を対象に、仏国内での売上高に3%を課税するというものだ。
これについて米政府は「GAFA」と呼ばれる同国の巨大IT企業であるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンを狙い打ちにした不当な措置として猛反発。米通商代表部(USTR)は12月、米国のIT企業を不当に差別しているとする調査報告書を発表し、最大24億ドル相当の仏製品に最大100%の追加関税を課す方針を打ち出した。
両国政府は1月7日、対立激化を防ぐために協議を行い、2週間以内に妥協点を見出す努力をすることで合意していた。
マクロン大統領とトランプ大統領は19日に電話協議を行った。マクロン大統領はツイッターへの投稿で「素晴らしい協議だった」と述べ、成果を強調。仏政府筋によると、双方は経済協力開発機構(OECD)が検討している国際的なデジタル課税制度の実現を視野に、年末まで協議を継続し、その間は米国が報復関税発動を控えることで合意したという。
また、仏ルメール仏経済・財務相と米ムニューシン財務長官は22日に会談し、仏政府が20年末までデジタル税の徴収を見送ることでも合意した。