VWが特殊ギア子会社レンクを売却

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は30日、特殊ギア子会社レンクの全保有株76%を投資会社トリトンに売却することで合意したと発表した。経営資源を乗用車事業に絞り込む戦略に基づく措置。同社は大型エンジンやターボ機械を製造する完全子会社MANエナジー・ソリューションズも売却する意向で、現在その手続きを進めている。

レンク保有株を1株当たり97.8ユーロ、総額5億2,000万ユーロで譲渡する。VWはレンクの昨年の配当1,000万ユーロも受け取るため、5億3,000万ユーロを手にすることになる。売却手続きは独禁法と貿易法上の審査を経て来年初頭に完了する見通し。

レンクはVW傘下の商用車メーカーMANの子会社だったが、VWは2018年末、MANを含む商用車事業(トレイトン)の分離・上場に向けてレンクとMANエナジー・ソリューションズをMANから買い上げた。トレイトンが商用車以外の事業を抱えた状態で新規株式公開(IPO)を実施すると、市場の評価が下がりIPOで不利になることから、VWはMANのこれら子会社をひとまず取得したうえで、売却先を見つけることにした。

トリトンは今回の買収契約で◇26年末までレンクの独国内3拠点(アウグスブルク、ライネ、ハノーバー)と雇用を維持する◇本社所在地をアウグスブルクにとどめる◇ドイツ法に基づく株式会社(AG)にとどめる——ことを確約した。今後はVW以外の株主が保有するレンク株24%を対象に株式公開買い付け(TOB)を実施する。

上部へスクロール