化学大手エボニックが米ペロクシケム買収を完了、裁判所が独禁当局の訴え棄却

特殊化学大手の独エボニックは3日、過酸化水素(H2O2)と過酢酸(PAA)の有力企業である米ペロクシケムを買収する手続きが完了したと発表した。同買収に異議を唱え提訴していた米連邦取引委員会(FTC)の訴えを首都ワシントンの裁判所が棄却したことから、買収が実現した。

エボニックは2018年11月、ペロクシケムを投資会社ワン・エクイティ・パートナーズから買収する計画を発表した。収益力の高い特殊製品分野のポートフォリオ強化方針に基づく措置。

ペロクシケムはフィラデルフィアに本社を置く企業で、環境に優しい浄水、半導体洗浄、無殺菌の食品包装など収益力の高い特殊分野に強い。エボニックの当該事業は製紙・繊維産業向けなど汎用品が中心で収益力が低いことから、同社は特殊分野のポートフォリオを拡充するためにペロクシケムの買収を決めた。

これに対しFTCは19年8月、買収が実現すると、米北西部と南部・中部の過酸化水素製造・販売市場で適正な競争が阻害されるようになると懸念を表明。裁判を起こしていた。

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