英離脱後の金融アクセスめぐり攻防、EUは「恒久的な同等性評価」を否定

英国のEU離脱をめぐる交渉でEU側の代表を務めるバルニエ首席交渉官は、11日に欧州議会で行った演説で、英国の金融規制がEUと同水準だと認定する「同等性」の評価について、英国に対して「恒久的な同等性」を認めることはないと発言した。英政府はEU離脱の移行期間終了後も金融サービス分野でEU市場へのアクセスを維持するため、EUに対して「今後数十年にわたる永続的な同等性評価」を要求する方針とみられ、3月に開始予定の通商交渉を前に英側をけん制した格好だ。

英政治専門メディア「ポリティカルピックス」は10日、13日に辞任したジャビド前財務相が公邸に持ち込んだ交渉方針の草案とされる画像を掲載した。それによると、英国は初期段階の交渉で、移行期間終了後もEU市場へのアクセスを維持するため、「包括的・恒久的な同等性」を求めている。また、ジャビド氏は11日の英議会で、金融サービス分野でEUと「向こう何十年間にわたり、安定した関係を築きたい」と述べ、EUは同等性評価で英国がEU基準を満たしていると認めるべきだと訴えた。

バルニエ氏はこれに対し、英国は金融サービス分野の取り決めに関して「勘違いしてはならない」と指摘。EUは金融サービス市場へのアクセスについて「自ら決定する裁量権を維持する」と強調し、英国に対して「全般的・包括的・恒久的な同等性」を認めることはないと明言した。

EUと英国は6月末までに同等性評価の判断について合意する必要がある。しかし、ジョンソン英首相はEU離脱を受けて英独自の金融規制を確立したい考えを示しており、協議は難航も予想される。

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