化学大手の独コベストロが19日発表した2019年12月期決算の営業利益(EBITDA)は前期比49.9%減の16億400万ユーロと大きく落ち込んだ。経済の世界的な低迷と、アジア競合との価格競争が直撃。純利益は69.7%減って5億5,200万ユーロとなった。
売上高は124億1,200万ユーロで、前期を15.1%割り込んだ。販売量は0.8%増えたものの、販売価格が17.3%下落したことから、大幅な減収となった。
部門別でみると、ポリウレタンのEBITDAは63.2%減の6億4,800万ユーロへと後退。ポリカーボネイトも同48.3%減の5億3,600万ユーロへと落ち込んだ。販売価格はそれぞれ24.7%、16.5%下落した。販売量は各1.5%、2.4%増えている。
コーティング・接着剤部門のEBITDAは1.1%増加した。売上高は0.3%増。販売価格と販売量はともにやや減少したものの、為替とポートフォリオの効果で増収となった。
業績不振を受けて、同社はコスト削減の強化方針を打ち出した。今年は2億5,000万ユーロ、来年は3億5,000万ユーロを圧縮する。投資も抑制する意向だ。コベストロは1月、米テキサス州ベイタウンで進めているメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)工場の建設を18〜24カ月間、休止することを明らかにした。
経済環境が依然として厳しいことから、20年12月期はEBITDAが10億〜15億ユーロへと一段と落ち込むと予想している。新型肺炎の流行に伴い同社の中国工場では原料供給が減少し稼働率が低下しているものの、財務への影響を現時点では計算できないことから、EBITDA予測には新型肺炎の影響が加味されていない。