独光通信サービスのドイチェ・グラスファーザー(ボルケン)は10日、スウェーデンの投資会社EQTとカナダの年金基金OMERSが同社を投資会社KKR、Reggeborghから共同買収すると発表した。EQTは昨年、独通信会社イネクシオ(inexio)を傘下に収めており、買収の実現後は両子会社をグループ化し、独光回線サービス市場の開拓を加速させる考えだ。
EQTとOMERSはドイチェ・グラスファーザーを完全買収する。買収金額は非公開。メディア報道によると、債務の引き受けも含めて約28億ユーロに上るもようだ。取引の成立には独・欧州当局の承認が必要。
ドイツでは最大通信速度が1ギガ・ビット/秒(Gbps)を超える光通信サービス(FTTH=ファイバー・ツー・ザ・ホーム)の普及度が低く、利用世帯は440万世帯にとどまる。他の通信サービスに比べ料金が高いためだ。ただ、最近はFTTHを求める世帯が増えており、将来性は高い。
ドイチェ・グラスファーザーとイネクシオが形成するグループはEQTなど新しい親会社の支援を受けて、FTTH網の拡充に中期的に総額70億ユーロを投資。FTTHの接続世帯を中期的に600万世帯以上に増やす目標だ。
光通信網の初期投資には巨額資金が必要となるものの、技術的なリスクが小さいうえ、一度敷設すれば回線を数十年、利用でき安定収益が見込めることから、投資会社は熱い視線を送っている。