使用可能な製品の廃棄を禁止へ、使い捨て製品の製販者には清掃費負担義務

ドイツ政府は12日の閣議で、改正循環経済法案を了承した。欧州連合(EU)の改正廃棄物枠組み指令を国内法に転換するもので、不要な廃棄物の発生を抑制して資源の浪費と環境負荷を軽減することが狙い。返品された商品の廃棄を原則として禁止することなどが盛り込まれている。連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で今後、審議・採決される。

バンベルク大学の調査によると、ドイツではネット通販で販売された商品の9分の1に当たる年4億8,700万個が返品されている。これらの商品の大半は再び販売されるものの、4%弱(1,900万個)は廃棄されている。廃棄される商品のなかには損傷が激しく使い物にならないものもあるものの、750万個は寄付などの形で有効利用できる。また、ブランド品などは製造元の要求を受けて廃棄されている。

今回の改正法案ではこうした無駄をなくすために、返品された商品を流通事業者や製造元が廃棄することを、健康や技術上の危険がない限り原則として禁止している。具体的な規則は法案成立後に政令で定める。

テイクアウト用コーヒーの容器やたばこなどポイ捨てされる商品についても、削減に向けた措置を導入する。これらの商品を製造・販売する企業に課金。課金で得られた収入を道路や公園の清掃費用に充てる。これまでは自治体が行う清掃の費用を、税などを通して市民がすべて負担してきた。使い捨て容器などを製造・販売する企業に課金すれば、市民の負担が減るとともに、ごみの発生量が減る効果が期待できる。

法案にはさらに、◇紙、金属、樹脂、ガラスなどを対象とする法定の最低リサイクリング比率を引き上げるとともに、同比率の計算方式を厳格化する◇生ごみ、樹脂、金属、紙、ガラス、繊維、粗大ごみ、特殊ごみの分別回収を公共の廃棄物処事業者に義務付ける◇建設や調達などの公共入札で省資源・省エネ・低有害な応札者を優先することを国(連邦)の機関に義務付ける――ことも盛り込まれている。

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