ロシアの発電設備大手パワーマシーンズが、独シーメンスとの合弁会社シーメン
ス・ガスタービンズ・テクノロジーズ(STGT)から撤退する。合弁契約の条項に基
づくもので、現在、取引額などの詳細を詰めているところだ。シーメンスの新しい
合弁パートナーとしてはガスプロムの電力子会社ガスプロムエネルゴの名が取りざ
たされている。
STGTは9年前、シーメンスが65%、パワーマシーンズが35%を出資して設立され
た。パワーマシーンズの撤退で、シーメンスが一旦、パワーマシーンズの持ち株を
買い取ることになる。パワーマシーンズに近い筋によると、株式の時価は500万〜
600万ドルに上る。
提携解消の理由の一つは、パワーマシーンズがロシア市場向けにガスタービンの独
自開発を計画していることだ。合弁契約ではパートナーが製品を独自開発すること
を禁じている。
また、シーメンスが、STGTと政府との特別投資契約(SpIK)締結を目指しているこ
とについても両社の意見が対立している。米国がパワーマシーンズに制裁措置を適
用し、STGTの事業に支障が出ていることも要因とされる。
背景には、ロシア政府が国内発電所の近代化を計画していることがある。ロシアに
は国産タービンが存在せず、パワーマシーンズが独自製品を開発すれば、多くの受
注が見込める。
一方、シーメンスはロシア生産の継続に向けて新たな提携先が必要だ。これについ
ては以前から、ガスプロムエネルゴがSTGTに資本参加するとのうわさが流れてい
る。
STGTはサンクトペテルブルク郊外のゴレロヴォ工場でガスタービンを組立生産する
ほか、ロシアの数多くの発電所に保守サービスを提供している。ゴレロヴォ工場は
5年前に開所。投資額は2億7,500万ユーロに上った。