独自動車工業会(VDA)は3日、乗用車を対象とするモーターショーIAAを次回の2021年からドイツ南部のミュンヘンで開催することを決定した。魅力的なイベント立地、交通インフラの充実、大型イベントの開催能力が決め手となった。市当局との協議を経て契約を結ぶ予定だ。
乗用車のIAAは1951年以降、一貫してフランクフルトで開催されてきた。だが、近年は出展数と来場者数がともに縮小。昨年は出展数が前回(17年)を20%下回る800、来場者数が30%以上減の56万人強へと大きく後退した。
VDAはこれを受けて、スタンドでの展示を中心とした従来型の見本市コンセプトを見直すとともに、開催都市の変更を検討する方針を打ち出して公募を実施。フランクフルトを含む計7都市がコンセプトを作成して応募した。
選考は2段階に分けて行われ、ミュンヘン、ベルリン、ハンブルクの3都市が一次選考を通過した。VDAによると、3都市のコンセプトはすべて優れており、僅差の勝負となった。
ミュンヘンは都市中心部と周辺地域をIAAのイベント会場とするとしたコンセプトが高く評価された。これによりIAAは車両の展示会場だけでなく路上や市内でも開催されるようになることから、多くの消費者に直接アピールできるようになる。
交通インフラに関しては、持続可能なモビリティを重視したスマートシティ開発に市当局が数年前から取り組んでいることや、国際線の充実など交通の便が良いことが評価された。
ミュンヘンでは毎年秋に世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」が開催され、世界から約600万人が訪問する。大型イベントへの対応は慣れており、IAAを問題なく開催できる能力を持つ。
VDAはIAAを自動車の見本市から「モビリティのプラットホーム」へと発展させる考えで、これまで見本市会場に限られていた新モデルや試作車の試乗といった体験イベントを、今後は路上やアリーナに設置した特設会場で提供していく。