仏コベア、再保険パートナー・リー買収で合意

仏相互保険会社コベアは3日、伊フィアット創業家一族であるアニェリ家の投資持ち株会社エクソール(オランダ)から傘下の再保険会社パートナー・リー(英領バミューダ)を90億ドルで買収することで基本合意したと発表した。取引が成立すると、コベアは再編が進む再保険市場で業界大手に浮上する。競争当局の承認を経て、2020年第4四半期の買収完了を見込む。

コベアはパートナー・リーの買収に向け、2月初めからエクソールとの間で独占的協議を進めていた。両社が締結した基本合意書によると、取引は全額現金で行われ、エクソールは買収手続き完了前に5,000万ドルの配当を受け取る。

パートナー・リーの買収が実現すると、保険業界では18年に仏アクサが英領バミューダに本社を置く損害保険会社XLグループを153億ドルで買収して以来の大型案件となる。コベアとパートナー・リーを合わせた取扱保険料は230億ユーロに上り、新生コベアでは再保険の事業比率が約25%となる。

エクソールはアニェリ家のジョン・エルカン氏が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるイタリア有数の投資会社で、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズや、農機・建機大手のCNHインダストリアル(オランダ)などの筆頭株主として知られる。エクソールは15年にパートナー・リーを69億ドルで買収した。

一方、コベアは事業を多角化する取り組みの一環として、18年に仏再保険会社スコールの買収に乗り出した。しかし、スコールは同社の価値を過小評価しているとして拒否。コベアはその後も買収を目指していたが、19年に入り交渉を打ち切ると、スコール側がコベアを提訴し、現在も係争中となっている。

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