英独資本の半導体大手ダイアログ・セミコンダクター(ロンドン)は20日、産業用モノのインターネット(IIoT)向け半導体などを手がける米アデスト・テクノロジーズを買収することで合意したと発表した。ダイアログは米IT大手アップルへの依存度を引き下げるために自動車、IoT向けチップ事業の強化方針を打ち出しており、昨年10月にもIoT向け半導体の開発会社である独クリエイティブ・チップスを買収することで合意している。
アデストを1株当たり現金12.55ドルで買収する。同社を5億ドルと評価した格好。アデストの取締役会はダイアログの買収提案に応じるよう株主に呼びかけている。第3四半期(7~9月)の買収手続き完了を見込む。
アデストはカリフォルニア州サンタ・クララに本社を置く企業。IIoT向け半導体や、顧客のニーズに合わせて設計されたカスタム集積回路を手がけている。従業員数は約270人。2019年の売上高はおよそ1億1,800万ドル(暫定額)に上った。
ダイアログは「iPhone」などアップルの製品向けに電力制御用チップを供給するサプライヤーで、売り上げの4分の3をアップルとの取引で獲得してきた。だが、アップルがチップの内製化を進めていることから、アップルとの取引は今後、大幅に縮小する方針で、2018年にはアップル向けチップ事業の関連特許と技術者をアップルに譲り渡すことを取り決めた。アップルに供給するチップをオーディオや充電ケーブル用など電力制御以外の分野に絞り込む。アップルとの取引の売上比率を22年以降、35~40%に引き下げる意向だ。