エネルギー大手のユニパー(デュッセルドルフ)は21日、独東部のシュコパウにある褐炭発電所の株式58%をチェコ同業EPHの独子会社ザーレ・エネルギーに売却することで合意したと発表した。ドイツでは2038年までに石炭発電が全廃されることから、ユニパーは同国での石炭発電事業を大幅に縮小する意向だ。
ザーレ・エネルギーは現在、シュコパウ褐炭発電所の株式42%を保有している。このため、ユニパーの保有株を取得すると同発電所を完全傘下に収めることになる。取引金額は明らかにしていない。
シュコパウ発電所は発電能力が約900メガワット。送電網のほか、近隣の化学工業団地とドイツ鉄道(DB)に電力を供給している。政府の石炭発電廃止法案では34年末に稼働が停止される予定。ユニパーは同発電所株の売却により、欧州の褐炭発電事業から全面撤退することになる。
褐炭は水分や不純物が多い最も低品位な石炭。二酸化炭素(CO2)排出量が特に多いことから、温暖化を防止するためには早期の廃止が好ましい。
ユニパーは1月末、石炭発電廃止法案の閣議決定を受けてドイツ国内の石炭発電事業を大幅に縮小する方針を打ち出した。今夏の稼働開始を予定する最新の発電所、「ダッテルン4」を除くすべての石炭発電所の操業を25年末までに停止する計画だ。
ユニパーは昨年7月にも、フランスの発電・販売事業をEPHに売却することで合意している。