独が仏墺など5カ国で国境管理導入、出入国を大幅に制限

ドイツ政府は16日、一部周辺諸国との国境で暫定的な出入国管理を導入した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐのが狙い。オーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、デンマークの5カ国を対象に午前8時から開始した。チェコ、ポーランド、デンマークもドイツからの人の出入りを制限しており、欧州連合(EU)域内の人の自由な移動を保障するシェンゲン協定のルールは一時的ながら棚上げ状態となっている。

仏墺など5カ国との間を移動できるのは、国境を越えて通勤する人など正当な理由がある人に制限される。ドイツ人およびドイツに居住する外国人もこれら5カ国からドイツに入国することができる。適切な理由のない人はこれらの国との国境を越えることが認められない。鉄道と空路を通してこれらの国と行き来することについては現時点で制限が加えられていないものの、例えばロベルト・コッホ研究所が新型コロナの危険地域に指定した仏東部のアルザス・ロレーヌ地方からドイツに戻ってきた人は外出を2週間、控えることを要請されている。

ホルスト・ゼーホーファー内相は15日、どうしても必要な場合を除いて旅行そのものを控えることも市民に要請した。

モノの移動には制限が設けられていないことから、企業はこれまで通り物流活動を行うことができる。ただ、運転手の感染リスクを下げるために、危険地域の通過は可能な限り回避したほう良さそうだ。

飲食店に営業時間と座席間隔の規制=バイエルン

一方、感染者数が多いドイツ南部のバイエルン州は16日、非常事態を宣言した。緊急措置を迅速に導入できるようにして、感染拡大のスピードを鈍らせる狙い。州政府は娯楽施設だけでなく飲食店も規制の対象となることを明らかにした。

飲食店では顧客、店員が至近距離で話をすることから感染拡大の温床となりやすい。このため州政府は飲食店の営業を18日から30日まで制限する。デリバリーとテイクアウト店、ホテルは規制の対象外となる。社員食堂やレストランも6時から15時の間、営業が認められる。ただし、座席の間隔を最低1.5メートル保たなければならないうえ、店内の人の数を30人以下に抑えなければならない。

日々の生活に必要不可欠でないサウナ、ディスコ、映画館、フィットネスクラブなどの営業は17日から4月19日まで禁止される。人々が集まる催しも個人宅で開く家族などのイベントを除いて禁止となる。

食料品店や銀行、薬局、ドラッグストア、ガソリンスタンド、郵便局など日々の生活に必要不可欠な店舗は営業を行うことができる。トイレットペーパーやパスタが店頭で品薄となり、自宅の備えが少ない市民がいることから、スーパーマーケットなどでは営業時間規制が一時的に緩和される(18〜30日)。

西南ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州は州内の空港を旅客機が利用することの禁止を検討している。dpa通信が報じ、州政府の広報担当者が追認した。同措置の導入は「時間の問題」だとしており、数日以内に実施する意向だ。

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