欧州の自動車業界で工場の操業を一時停止する動きが広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーンが寸断されたうえ、需要も大幅に落ち込んでいるためだ。ドイツではフォルクスワーゲン(VW)グループと仏PSAの子会社オペルが実施する。
VWのヘルベルト・ディース社長は17日、独・欧州にあるグループの工場の大半を差し当たり2〜3週間、停止することを明らかにした。すでにスペイン、スロバキア、イタリアの工場は停止している。
工場労働者の間で感染懸念が広がっていることも操業停止の背景にあるもようだ。オフィス勤務の社員が相互に一定距離を保って勤務しているのに対し、製造現場ではそうした措置が取られておらず、従業員代表機関である事業所委員会はVW経営陣に生産停止を要求していた。
オペルはリュッセルスハイム本社とアイゼナハ工場の操業を17日に停止した。ポルシェはVWの子会社であるものの、生産停止を検討していない。高級車大手のBMWも計画通りに生産を行う意向だ。
ドイツ以外の欧州メーカーではPSAのほか、仏ルノー、伊米資本のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が工場の一時閉鎖に踏み切った。
VWは新型コロナの影響で先行き見通しが不透明になったことから、2020年12月期の業績予測を撤回した。同社は2月末、売上高営業利益率で6.5〜7.5%を確保するとの見通しを示していた。