バイエルンが州全域に外出制限を発動、飲食店の営業は7州で禁止に

独バイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相は20日昼に緊急記者会見を開き、州内全域に外出制限措置を発動すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために国や州が外出自粛を強く呼びかけているにもかかわらず、これを軽視・無視する市民が多いことから、強制措置へと踏み切る。21日から4月3日までの2週間、実施する。外出を自粛しない市民は他の州でも多いことから、外出制限は今後、国内全域に広がる可能性もある。

ドイツでは基本的な生活の維持に必要のない商品・サービスを提供する事業者の営業が18日から禁止された。感染拡大の起点となる人と人の接触を可能な限り減らすためだ。だが、同日以降も街中を集団で歩いたり、公園に集まる市民が多く、国・州政府の首脳は危機感を表明。ゼーダー州首相は19日「多くの人々が自粛しないのであれば、バイエルン州全域に外出禁止を発動せざるを得ない」と警告していた。

同州では21日以降、必要性のない外出が禁止される。外出できるのは通勤、食料品など生活必需品と医薬品の購入、通院、救援・救助、ライフパートナー宅の訪問、一人ないし家族での散歩や屋外での運動に限られる。飲食店もテイクアウトとデリバリーを除いて営業が禁止される。

遵守状況を監視するために警察が巡回し、違反者には最大2万5,000ユーロの罰金が科される。通勤中に職務質問を受けることも考えられるため、◇社員証のある企業では全社員に携帯の念押し◇社員証のない企業は社員証に準じる書類の作成――をしたほうが良さそうだ。

西南ドイツのフライブルク市も21日から外出を制限する。期間は差し当たり4月3日までの2週間。同市は新型コロナ感染が深刻なフランス東部のアルザス地方に近いことから、患者数が急増。19日朝の時点で126人に上った。外出自粛要請を無視する市民が多いことから強制措置へと切り替えた。

アルザスを含む仏東部のグラン・テスト地域圏では感染死者が61人に達した。集中治療用ベッドは満杯となっており、独ロベルト・コッホ研究所から危険地域に指定されている。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は外出制限を全国で実施するかどうかを22日(日)の会合で決定する。連邦(国)政府のヘルガ・ブラウン官房長官は週刊誌『シュピーゲル』に、この週末の市民の動きを見て決定すると述べた。特に21日(土)が重要な意味を持つとしており、同日の人手が多い場合は外出制限を決めるもようだ。

飲食店の営業を禁止する動きはバイエルン以外の州にも広がっており、金融都市フランクフルトを擁するヘッセン州は20日、21日昼から禁止することを明らかにした。ザールラント、バーデン・ヴュルテンベルク、ラインラント・ファルツ、ニーダーザクセン、ハンブルクも同様の措置を取る。飲食店は18日以降、営業時間が制限されたものの、これまでは16州すべてで禁止を免れていた。

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