新型コロナ対策で「あらゆる措置」、ESM活用も=ユーロ圏財務相会合

ユーロ圏19カ国は16日に開いた財務相会合で、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響を最小限に抑えるため、あらゆる必要な措置を講じていくことを確認した。各国が財政出動で対応するほか、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の資金も活用する方針だ。

EUでは欧州委員会が13日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策として、医療制度や中小企業への支援策、雇用対策などに総額370億ユーロを投じると発表。加盟国が積極的な財政出動で景気を下支えできるようにするため、EUの財政規律を弾力的に運用することなども打ち出した。

テレビ会議方式で開かれた今回のユーロ圏財務相会合では、こうした方針を歓迎した上で、新型コロナウイルス問題が社会、経済に及ぼす影響を極小化するため、「必要なあらゆる措置を講じる」とする声明を採択した。その一環として、本来は金融危機に陥ったユーロ圏の国に支援を行うESMの4,100億ユーロに上る融資枠を新型コロナ対応に活用することで合意。センテノ議長(ポルトガル財務相)は会合後の記者会見で、どのように実施するかを欧州委とESMに検討するよう要請したことを明らかにした。

同声明によると、これまでに決まった財政出動は域内総生産(GDP)の約1%に相当する規模。このほか、企業が抱える債務の公的保証、税金の繰り延べといった流動性支援に、GDP比10%を超える額を投入することも決まっている。

センテノ議長は、新型コロナウイルスの感染拡大が景気を大きく押し下げるのは間違いない」と述べ、市民や共通通貨ユーロを守るため「無制限の支援」が必要になるとコメント。これらが必要に応じて増額されるとの見通しを示した。

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