伊の新型コロナ死者が1万人突破、英ではジョンソン首相が感染

欧州で新型コロナウイルス感染拡大が続いている。死者は感染の中心地となっているイタリアでは1万人を突破。スペインでは6,000人を超えた。英国ではジョンソン首相が主要国の首脳で初めて、感染が確認された。

イタリア当局の28日に発表によると、死者は同日に889人増加し、計1万23人となった。死者数は世界最多。感染者は約6,000人増え、9万2,472人に達した。米国に次ぐ世界2番目の水準だ。ただ、死者・感染者増加のペースは抑えられつつあり、29日の死者は756人(計1万779人)で、前日と過去最多だった27日の969人を下回った。感染者数は5,217人増の9万7,689人で、1日の増加数としては25日以来の低水準だった。

スペインでは死者が28日に832人増え、5,690人に達した。イタリアに次ぐ2番目の多さとなる。感染者数は前日の6万4,059人から7万2,248人に増えた。このほか、死者はフランスで2,000人、英国で1,000人を超えた。

一方、英国ではジョンソン首相が27日、ツイッターへの投稿で、自身が新型コロナウイルスンの検査で陽性反応が出たと公表した。さらにハンコック保健・社会福祉相も感染したことが同日に判明した。

英国では25日にチャールズ皇太子の新型コロナ感染が確認されたばかり。ジョンソン首相は症状が軽く、官邸に隔離されるものの、テレビ会議を通じて新型コロナ対策の陣頭指揮を執る。

イタリアは欧米で初めて、新型コロナ対策として人の移動制限など「ロックダウン」呼ばれる厳しい措置を導入した。しかし、北部を中心に感染が爆発的に拡大。このところ収束に向かう兆しが出てきたものの、危機的な状況が続く。人口に占める高齢者の割合がEU最高水準にあることや、財政赤字削減のあおりで医療水準が低下し、感染者に十分な治療を行えない状況に陥ったことが背景にある。

経済への打撃も深刻化している。コンテ首相は28日、店舗の営業停止で職を失った人などの生活支援のため、新たに47億ユーロを投じる方針を打ち出した。

スペインも感染抑制の兆しがあり、29日発表した死者は計6,528人となったが、1日当たりの死者は838人と、前日からほほ横ばいにとどまった。保健省は感染拡大がピークに近づいているとの見方を示している。それでも事態は深刻で、サンチェス首相は28日、外出制限を30日から4月9日まで強化すると発表した。これまで仕事のための外出は認められていたが、社会に不可欠な業種に携わる人を除き、自宅待機を命じる。イタリアと同様の措置となる。

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