独スタートアップ企業スピンダイアグ(Spindiag)は7日、新型コロナウイルスの感染を迅速かつ低コストで調べる検査法を開発していると発表した。バーデン・ヴュルテンベルク州から600万ユーロの補助金を受け、8月までに完成させる計画だ。
同社はハーン・シッカルト・マイクロ分析システム研究所のスピンオフとして2016年に設立された企業で、西南ドイツのフライブルクに事業拠点を置く。従業員数は約30人。これまでは多剤耐性菌の感染を調べる検査法を開発してきたが、新型コロナの流行を受けて中断。ハーン・シッカルト・マイクロ分析システム研究所の協力を受けて新型コロナの検査法開発に全経営資源を投入している。
同社が開発しているのは、新型コロナの感染を調べるために幅広く利用されているPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を進化させた検査法だ。
新型コロナのPCR検査では口や鼻の粘液を綿棒ですり取ったうえで、ウイルスのRNA(リボ核酸)を増やす。これをさらに染色して検査機にかけ、感染の有無を調べる。
スピンダイアグの検査法ではRNAの増幅、染色という2段階の手続きが簡素化されており、すり取った粘液を専用のカートリッジに入れて分析器にかけるだけで、35分後には結果が出る。検査したその場で感染の有無を速やかに確認できることから、感染者をほぼ確実に隔離できる。検査精度は95%と高い。
同社は今後、テスト検査をさらに行うとともに、同検査法を欧州連合(EU)の体外診断用医療機器(IVD)指令(98/79/EC)の基準に合致させ、8月に市場投入する意向だ。検査機の価格は約2万ユーロ、テスト費用は1件当たり40ユーロにとどまる。1日に70~80件の検査を行える。これは大手企業のボッシュが先ごろ開発した新型コロナの検査機(同10件)を大幅に上回る。