Ifoなど有力経済研究所は8日発表した『春季共同予測(春季GD)』で、ドイツの今年の成長率予測を大幅に引き下げた。新型コロナウイルスの世界的な流行を受けて国内外の経済活動が大幅に鈍っているためだ。来年は今年の反動でV字回復するとみているものの、下振れリスクを排除していない。
有力経済研究所は昨年10月に発表した『秋季共同予測(秋季GD)』で2020年の国内総生産(DGP)が前年比で実質1.1%増加するとの見通しを示した。今回これをマイナス4.2%へと5.3ポイント引き下げた。GDPのマイナス成長幅はリーマンショックに端を発する金融・経済危機のさなかにあった09年(-5.7%)以来の規模で、戦後全体でも2番目に大きい。
四半期単位でみると、今年第1四半期(1~3月)は前期比で1.9%縮小。第2四半期(4~6月)は同9.8%へと大幅に拡大し、縮小幅は4半期ベースのGDP統計を開始した1970年以降で最大となる。
成長率の足を強く引っ張るのは個人消費(民間最終消費支出)と設備投資、輸出だ。20年の減少幅は個人消費で5.7%、設備投資で8.9%、輸出で10.9%に達する。
景気悪化の結果、これまで低下していた失業率は上昇へと転じる。財政収支も税収減と企業・就労者支援に向けた巨額支出が響いて赤字へと転落する。
景気は外出・接触・営業制限の解除後、徐々に回復していき、21年は20年の反動で成長率が5.8%へと跳ね上がる。
ただ、春季GDは新型コロナの流行が長引いたり再発する可能性を排除していない。そうした悲観的なシナリオが現実となった場合は、景気後退が長期化し回復のスピードも鈍ると予想。企業倒産が大きく増える結果、危機の影響が金融システムにも波及するとみている。