売り場面積800メートル超の小売店に対する営業禁止措置を解除しないバイエルン州政府の措置は不当として高級デパートKaDeWeが提訴していた係争で、バイエルン行政裁判所(BayVGH)は27日、この訴えを認める決定を下した。ドイツの憲法(基本法)で保障された平等原則に抵触するとしている。抗告を認めていないことから、決定は確定したことになる。
ドイツでは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために3月中旬、スーパーマーケットや薬局、銀行など基本的な生活の維持に必要な店舗を除いて小売店やサービス事業者の営業を一時的に禁止する措置が導入された。その効果で感染拡大のスピードが鈍化したことから、国と国内16州の政府は15日、同措置の緩和を決定。これに基づいて各州政府は緩和を進めている。
バイエルン州ではまず20日にホームセンターの営業が解禁。27日には書店、自動車販売店、自転車販売店、および売り場面積800メートル以下のすべての小売店も営業を再開できるようになった。
KaDeWeがバイエルンの州都ミュンヘンに持つ店舗は売り場面積が3万6,000平方メートルに上ることから、引き続き営業禁止の対象となっている。同社はこれを不当として提訴していた。
BayVGHは今回の決定で、◇売り場面積が800メートルを超えていても書店や自転車販売店は営業再開を認められているのに対し、デパートは認められていない◇売り場面積20平方メートル当たりの顧客数を最大1人とする規制を書店や自転車販売店など一部の業種で免除している――バイエルン州の規則は平等原則に反するとの判断を示した。
同裁はこれら規則の違憲性を確認したものの、新型コロナがパンデミックに発展していることと、同規則の有効期限が5月3日で切れることを理由に、同規則の停止命令を見合わせた。
一方、バイエルン州のマルクス・ゼーダー首相は同日、州内で感染拡大に一段と歯止めがかかっていることを受けて、小売店の営業制限をこれまで以上に緩和する見通しを明らかにした。1人の感染者が何人に感染させたかを示す「基本再生産数」は現在0.57で、感染拡大と縮小の分かれ目となる1を大幅に下回っているという。