ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は4月30日の電話会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために行っている規制の部分解除を決議した。新型コロナ規制の緩和決議は2度目。メルケル首相は同日の会議での緩和決議に否定的な立場を表明してきたが、規制の決定権を持つ州のなかからさらなる緩和を求める強い声が出たことから、今回の緩和が取り決められた。
国(連邦)と州は3月中旬、新型コロナの感染が急速に拡大したことを受けて、学校と保育施設の閉鎖、国境管理の導入、スーパーマーケットや薬局、銀行など基本的な生活の維持に必要な店舗を除くサービス事業者の営業停止を矢継ぎ早に導入した。その効果で感染拡大のスピードが鈍化したことから、メルケル首相と州首相は4月15日、規制緩和の第一弾を決議。自転車販売店、自動車販売店、書店および売り場面積800平方メートル以下の小売店は営業を再開できるようになった。多くの州はこれらの規制緩和を20日から実施した。
緩和が新型コロナの感染拡大につながらないかどうかの評価を下すには最低2週間の時間の経過が必要なことから、メルケル首相は30日の会議で追加緩和を決めることに反対してきたが、制限措置の長期化に伴う負の影響を懸念する声は強く、妥協せざるを得なくなった格好だ。同首相は「ドイツは連邦制の国だ。地域による違いは常にある」と述べた。その一方で、全国統一の対新型コロナ戦略が必要だとも明言し、国と州の決議を通して足並みをそろえることの重要性も強調した。
今回の決議では一般信者が参加する教会などでの宗教行事、遊び場の利用、博物館・記念場・動植物園の再オープンを認めることを取り決めた。感染予防策の実施を条件としていることから、例えばミサで聖歌を歌うことは認められない。
緩和の具体的なルールは各州政府が制定。ほとんどの州は4日から第二弾の緩和を実施した。
国と州はこのほか、不急不要の手術を病院が再開できるようにすることも取り決めた。当局は新型コロナの重症・重篤患者が急増して医療崩壊する事態を避けるために、3月16日以降、集中治療用ベッドの40%を空けておくことを病院に命じてきたが、新規感染者数の減少傾向が続き現時点で感染爆発の恐れがないことから、この規制措置も緩和することにした。国と州の決議には、特定の疾患の患者グループだけを長期的・独占的に優先することは正当化できないと明記されている。
レストラン営業解禁の州も
一部の州は国との決議から逸脱するルールを制定しており、ノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)は売り場面積800平方メートル超の家具販売店の営業を4月下旬から認めている。メクレンブルク・フォーポマーン、バーデン・ヴュルテンベルク、テューリンゲンの3州は売り場面積規制を5月4日までに全面解除した。
ニーダーザクセン州政府は4日、州独自の制限緩和方針を発表した。小売店の売り場面積規制を11日付で解除するほか、レストラン、喫茶店、ビアガーデンの営業を、稼働率50%を上限に同日から認める意向だ。ホテルについても同50%以下を条件に25日から営業を再開できるようにする。バー、居酒屋(クナイペ)、ディスコについては営業禁止を継続する。