ロシアの北極海航路輸送が増大、1-4月は4.5%増

ロシアの北極海沿岸を通る北極海航路の今年1-4月期の輸送量は1,000万トンを上回り、前年同期から4.5%増加した。連邦海上・河川輸送庁が明らかにした。通年では輸送量の伸びは緩やかなものにとどまる見通し。

2019年の輸送量は3,150万トンで、前年(1,040万トン)比202%の大幅増を記録した。トランジット(積み替え)貨物は41.9%増加し69万7,200トンに達した。港湾別の取扱量を見ると、ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)生産基地に隣接するサベッタ港が2,050万トン、エニセイ湾深くに位置するドゥディンカ港が150万トン、ヤマル半島のムィス・カーメンヌイ近くの港湾が770万トンだった。サベッタ港やムィス・カーメンヌイではLNGの積み出しが行われている。

北極海ルートはロシアの北極海沿いの欧州側から極東までを結ぶもので、欧州とアジア太平洋地域間の貨物輸送の動脈となることが期待されている。ロシアのプーチン大統領は同ルートをグローバルで競争力のある輸送路とする目標を掲げており、年間8,000万トンまで輸送量を引き上げる計画だ。主にLNG、石油及び石炭が輸送貨物となる。

同ルートを利用することで、スエズ運河やパナマ運河を経由した場合に比べ東南アジアから欧州への貨物輸送の所要時間が半減される。同ルートは旧ソ連時代には北極海の孤立した地域に物資を送るルートとして利用されてきた。

上部へスクロール