道路照明インフラにセンサーを設置して交通データを収集し、都市部における自動運転の安全性向上に役立てるドイツの共同研究プロジェクト。2016年12月に開始した当該プロジェクトはこのほど、3年以上に渡る研究を終え、研究成果をまとめた。
プロジェクトの調整役は、独自動車部品大手のボッシュが担当した。このほか、独照明大手のオスラム、独自動車大手のダイムラー(メルセデスベンツ)、フィンランドの通信機器大手ノキア(ドイツのウルムにあるノキアの開発センター)、オランダのデジタル地図サービス大手のトムトム、独ソフトウエア会社のITデザイナーズ、ウルム大学、デュースブルク・エッセン大学、ウルム市(準パートナー)がプロジェクトに参加した。また、ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWi)は550万ユーロを支援した。
同プロジェクトでは、道路照明灯にビデオセンサーとライダーセンサーを設置した。これにより、トラックの影に隠れている歩行者や後方から近づいてくる自転車など、車載センサーのみでは認識できない道路情報を収集・伝達することができる。
また、照明灯のセンサーが収集したデータを処理して高精度デジタル地図(HDマップ)と組み合わせ、移動通信網を経由して車両に伝達、車載センサーのデータと統合して表示するシステムに必要なハードウエアやソフトウエアを開発した。
通信規格はLTEを使用。移動通信網にローカルサーバーとして、ノキアのマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)サーバーを組み込み、ローカルで交通情報を分析し、HDマップに反映させた。プロジェクトチームは、2018年からウルムで、自動運転車のプロトタイプとインフラセンサーを連携する実証試験を実施した。
研究成果は、車両技術や自動運転機能、移動通信技術などの今後の開発に役立てる。また、今回のプロジェクトで整備したインフラ設備は今後のその他の研究プロジェクトでも活用していく。