アストラゼネカがコロナワクチンの生産能力倍増、新興国向けに10億回分

英製薬大手アストラゼネカは4日、英オックスフォード大学と開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、来年にかけて20億回分の生産が可能になるとの見通しを示した。インドの大手ワクチンメーカーとの提携を通じて生産能力を当初計画の2倍に引き上げ、新興国向けに10億回分を生産する。

開発中のワクチン「AZD1222」は現在、世界的に臨床試験(治験)が行われている。アストラゼネカは5月、すでに10億回分の生産体制を整備しており、早ければ9月にも英国向けに1億回分、米国向けに3億回分の供給を開始する方針を示していた。

発表によると、アジア最大のワクチンメーカーであるセラム・インスティチュート・オブ・インディア(SII)とライセンス契約を締結したことで、新興国向けに別途10億回分を生産できる見通しとなった。このうち4億回分は年内の供給を目指す。

さらにアストラゼネカは今回、途上国におけるワクチンの普及を推進する国際組織「GAVIワクチンアライアンス」および世界的な官民連携のワクチン開発推進組織「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」との間で、AZD1222の生産・供給に関する7億5,000万ドル規模の契約を締結した。途上国向けに3億回分のワクチンを生産し、年内に供給を開始する方針を示している。

一方、米ブルームバーグは7日、アストラゼネカが米製薬大手ギリアド・サイエンシズに対して経営統合を打診していると報じた。ギリアドの抗ウイルス薬「レムデシビル」は5月、新型コロナ治療薬として米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可。これを受けて厚生労働省も特例承認している。両社の間で正式な協議は行われていないというが、統合が実現すると製薬業界では過去最大規模の取引となる。

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