イタリア中堅銀行のUBIバンカは3日、国内最大手銀行インテーザ・サンパオロによる買収拒否を取締役会が決めたと発表した。買収条件を不満としたもので、株主に対して株式公開買い付けに(TOB)に応じないよう呼びかけている。
インテーザは2月17日、UBIバンカに買収を提案した。TOBを実施し、過半数を超える株式の取得を目指す。買収は全額株式交換方式で、UBIの株式1株とインテーザの新株1.7株を交換する。当時の株価で計算すると、1株当たりの買い取り価格は4.25ユーロで、提案を発表した前日の終値に27.6%を上乗せした水準となる。全株を取得した場合の買収額は48億6,000万ユーロに上る。
ユーロ圏の銀行は欧州中央銀行(ECB)の超低金利政策などで厳しい経営環境に直面している。とくにイタリアでは銀行が乱立状態にあり、競争で疲弊していることから、金融当局が統合を提唱していた。インテーザはこれに呼応した形となる。
しかし、UBIの取締役会は、中堅銀行のトップに立つ同行の買収としては提示額が低すぎ、しかも株式交換のため同行の株主にリスクがあるとして、買収拒否を決めた。買収によよってインテーザの国内金融業界で突出した存在になり、ユーロ圏で7位の銀行に浮上することに競争上の問題もあると主張している。
UBIは新型コロナ危機の影響で2022年の業績予測を見直し、純利益を当初の6億6,500万ユーロから5億6,200万ユーロに下方修正した。それでも買収防衛策として、資産売却による向こう3年間の増配を株主に約束した。
同買収計画は欧州中央銀行(ECB)が6月に承認済みだが、UBIが拒否を打ち出したことで、6日に開始されるTOBの行方は不透明となってきた。