欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2020/7/13

EU情報

20年のユーロ圏成長率、マイナス8.7%に下方修正=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は7日に発表した夏季経済予測で、ユーロ圏の2020年の域内総生産(GDP)実質伸び率をマイナス8.7%とし、前回(5月)の同7.7%から1.0ポイント下方修正した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が前回の予測時 […]

欧州委員会は7日に発表した夏季経済予測で、ユーロ圏の2020年の域内総生産(GDP)実質伸び率をマイナス8.7%とし、前回(5月)の同7.7%から1.0ポイント下方修正した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が前回の予測時より大きいとして、大幅に引き下げた。(表参照)

欧州委は2月中旬時点で、20年のユーロ圏のGDPを1.2%増と予想していた。しかし、新型コロナの影響が深刻化した5月に、大幅に下方修正していた。

さらなる下方修正は、ロックダウンと称される経済・社会活動を厳しく制限する措置の緩和が、5月時点の予想より緩やかなペースにとどまっているため。21年はプラス成長に回復するとみているが、予想成長率は前回の6.3%から6.1%に引き下げた。

EU27カ国ベースの予想成長率は20年がマイナス8.3%、21年がプラス5.8%で、それぞれ前回のマイナス7.4%、プラス6.1%から下方修正した。20年は全加盟国がマイナス成長に落ち込むと予想しているが、国によって大きな開きがある。マイナス幅はドイツが6.3%、ポーランドが4.6%と比較的小さい一方で、イタリアは域内最悪の11.2%、スペインは10.9%、フランスは10.6%と2ケタに上る。イタリアは1.7ポイント、スペインは1.5ポイント、フランスは2.4ポイントの下方修正となる。1月にEUを離脱した英国については9.7%と予想している。

欧州委は域内経済が最悪期を脱したとしているものの、今回の予測は新型コロナ感染の第2波に見舞われず、ロックダウンの緩和が続くという想定に基づいていることから、下振れリスクが高いと指摘。EUと英国の自由貿易協定(FTA)など将来の関係の構築に向けた交渉が決裂する事態などもリスク要因に挙げている。