英政府が300億ポンドの追加経済対策発表、雇用支援・外食業界などの減税が柱

英政府は8日、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化、雇用不安に対応するため、追加の経済対策を発表した。新たな雇用支援制度の導入、外食・観光・娯楽業界の付加価値税(VAT)引き下げが柱で、事業規模は総額300億ポンド(約4兆600億円)に上る。

英国では新型コロナの影響で一時休業を余儀なくされた従業員の給与の80%を補填する雇用支援策が3月に導入された。8月から段階的に給付が減らされ、10月末で廃止されることになっている。

スナク財務相が議会で発表した新雇用支援制度では、休業中の従業員を復帰させた企業に対して、1人当たり1,000ポンドを支給する。少なくとも1月末まで雇用を維持することが条件となる。900万人以上が対象となり、支給総額は最大94億ポンドに上る見込みだ。

消費税に相当するVATの減税は、経済活動の制限で大きな打撃を受けたレストランやパブ、ホテル、映画館などの支援が目的。税率を半年間にわたって現行の20%から5%に引き下げる。約40億ポンドの減税となる。また、8月の月~水曜日に外食店を利用した人に対して、政府の負担で料金を50%割引する制度を導入する。割引額は1人当たり10ポンドを上限とする。

このほか、追加経済対策には◇失業中の若者の就業体験に対する助成制度の拡充(事業規模20億ポンド)◇住居と公共の建物の省エネ促進事業(同30億ポンド)◇住宅購入に課す不動産税について、非課税対象となる物件の購入価格の上限を現行制度の4倍の50万ポンドに引き上げる措置を21年3月末まで導入(同38億ポンド)――などを盛り込んだ。

ジョンソン首相は6月末、景気対策として、50億ポンドを投じてインフラ整備を迅速に進めるという英国版「ニューディール政策」を発表していた。追加対策の300億ポンドには同事業費も含まれる。

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